耳垢をとってもらいに耳鼻科へ通う
なんか、あまりきれいじゃないタイトルが多いですが、こういう話題は好まない方もいらっしゃるので、スルーしていただけるように、タイトルは具体的にしております。
でも、こういう課題に限って学校ではやってもらえないし、すんなりとはいかないんですよね。
1.やっぱりきたか
6月頃、学校から送られてきた耳鼻科検診の結果に
「耳垢がたまっています。・・・・掃除しましょう。」
と、書かれていました。(「一週間に一度は・・・」とか書いてあった気がします。)
今年もまた、きてしまった。
こういうことにいつも気を配ってしていらっしゃる方には信じられないかもしれませんが、
実は、ひさ吉は、ここ数年、ほとんど耳掃除というものをしたことがありません。
ふつーに考えると、とても恐ろしいことですが。。。
(まだ、本人が幼くて力が弱い頃に、押さえつけて耳鼻科でしてもらったことはあります。)
当然、毎年、春になると学校のほうで検診があって、同じような通知が来ることもあったのですが、何も通知が来ない年もあって「やっぱり大丈夫じゃん」と変に安心し(ひさ吉が大きく抵抗して、耳の中をよく見ることがきなかったのだということは容易に想像できますが)、
しかも「要治療!」と書かれているわけでもなく、
歯科検診のように治療して、お医者さんで治療終了のはんこをもらってその用紙を提出する必要もなく、
なにより、本人も耳は聞こえている「みたい」だし、
もう少し言うと、ちょっと私が覗いたくらいでは、何も見えないし、、、
というわけで、長年、放置されてきたのでした。
耳掃除は、普通のお子さんでも嫌いなお子さんは多いらしいのですが、
(私は子どもの頃、耳掃除をしてもらうのが大好きだったので、その気持ちはまったくわからないのです。。。)
ひさ吉の場合、赤ちゃんの頃、耳垢掃除をしてもらおうと近所の耳鼻科にいったところ(親がやると危険だから耳鼻科に行くほうがよいと、育児書に書いてあったので。。。)、傷つけられて出血してしまい(母が本人をしっかりと押さえていなかったからなんでしょうが)、その後その治療のために3人がかりで押さえつけられて耳の中を吸引(?)などの治療をされた経験があり、そのせいかどうかわかりませんが、耳掃除には、異常に抵抗します。
今でも、歯磨きの仕上げ磨きをするとき(耳掃除ではなく、歯磨きなのに!!)、近くに綿棒や耳かきがあると、必ず母の手が届かないところに置いてから、仕上げ磨きをしてもらう体制(寝転がり母のひざに頭を置く)に入るという念の入れよう。これも、たぶん、母に不意打ちで耳掃除をされそうになったという苦い経験から得た自己防衛策だと思います。(最近は、そういうだまし討ちはしてないんだけどな~。それでもまだ、彼の信頼を取り戻すには至っていないようです。)
さて、今回もいつものようにスルーしようと思ったのですが、
一生このまま、というわけにもいかないし、
“成長して物事がわかるようになったら、おとなしく耳掃除をさせてくれる”というのも期待できないので、
ちょっと“耳掃除”にチャレンジしてみようと思いました。
2.家で耳掃除にトライしてみる
まず、耳かきなり綿棒なりを耳の中に入れさせてもらわなければ話になりません。ただし、いきなり竹製のものだと動いたりしたときに耳を傷つけそうだったので、傷つけにくそうな形状のもの(らせん状のものとか「のの字耳かき」とかシリコンのものとか)を何本か買いました。
そして、毎晩、歯磨きの後に、耳かきで耳を触る練習をしました。いつも歯磨きの後にしたのは、本人が見通しを持てるようにするためです。
はじめは寝ない状態で、耳かきで本人の頬とか耳たぶの辺りを触るところからはじめました。抵抗がなくできるようになったら、次の日に、今度はひざの上に寝させて、やはり耳たぶの辺りをさわれるようにし、できるようになったらそのまた次の日に、徐々に耳の穴に近いところを触れるようにする、というように、毎日少しずつやりました。
ひさ吉が母の手を払いのけたりして抵抗することもありますが、無理せず、でも抵抗したところで止めるのではなく抵抗せずに触れるところをさわってその日は終わるようにしました。
こうして、3週間ぐらいで手前のほうに見える耳垢は耳かきでとらせてくれるようになりました。
ところが、もう少し中に入れると、ガリッという感触が。。。どうも中に固まっている部分があるようでした。この固まったものはどうしたものかと、インターネット等で調べたのですが、やはり素人の私が判断してするのはよくないと思い、いよいよ耳鼻科に行かなくてはと思い始めました。
「歯医者さんでの治療」の成功体験もあったので、なんとかなるかもしれないという気にもなっていました。
3.耳鼻科に通い始める
そこでまず、通うお医者さんを決めなければいけないのですが、同じ養護学校に通うお母さん方に伺っても、うちの子たちにとって評判のよいところはありませんでした。
私としては、障害児(者)専門(そういう方がいらっしゃるかどうかはわかりませんが)というよりは、何度も通うつもりだったのでその利便性を考えて、地域で開業しておられて、できれば根気よく見てくれる先生を希望していました。
で、結局、学校の校医さんのところに通うことにしました。ひさ吉の通う養護学校は、新設校ですので、その校医さんもおそらく長年にわたって障害児を診てきた、というわけではないと思いますが、学校に検診にもきておられるのである程度はわかっておられるのでは、と思ったからです。
次に、診療をしていただくにあたり、先生への「お願い」をまとめて書いて、受付で渡しました。それには、
・耳垢をとることを希望していること。
・押さえつけずに、治療することを希望していること。
・押さえつけずに治療できるようになるまで、何度でも通うつもりであること。
(歯医者では、小さな虫歯を治療してもらうまでに、20回ぐらい通いました。)
・治療で使う器具は、使う前に本人に見せたり、可能であれば触らせたりして、知らせるようにしてほしいこと。
というような内容を書きました。
先生は、私の考えに同意してくださいました。
初回の診察では、一度は診察用の椅子に座りましたが、椅子が上下すると驚いたのか、椅子から下りて診察室のあちらこちらをぐるぐると見て回り、また、足元のレバーで椅子を上下することを覚え、自分でレバーを押したりしました。(ただし、これは危ないのでやらないように伝えましたが、隙を見つけてはやっていました。)
これらのことを何度か繰り返し、やっと椅子に座りました。この間、先生も看護婦さんも、ときどき椅子に座ることを促すものの、本人の様子を見守ってくれていました。
耳を先生のほうに向けるため、椅子を回すと降りようとしましたが、2度めは大丈夫でした。
耳鏡(ラッパのような形をした耳の中を覗く器具)を耳に入れようとすると拒否しました。2、3度試みましたがやはり拒否したので、今回は耳を引っ張るところまでとしました。
2回目の診察では、診察室に入り、促されるとわりとすんなり(相変わらず、足元のレバーを押して椅子の上げ下げをする動作はしました。。。)治療用の椅子に座ることができました。
あいかわらず、耳鏡を耳に入れるのは拒否、今回は、先生が額のところに丸い鏡がついた器具(額帯反射鏡というそうです)をつけて、頭上のライトをつけて耳を引っぱって覗く、ところまでやりました。
耳鏡は、本人にも触らせてもらいました。
3回目の診察では、耳鏡を耳の穴に入れることができました。「5」数える間、おとなしくする、ことを目標としたのですが、「5」までは我慢できませんでした。今回は、「3」までとすると、「3」数える間はおとなしくすることができました。
4~6回目くらいの診察で、耳鏡を耳の中に入れて「5」数えることができるようになり、その間に先生に耳の中を見ていただくこともできました。
そこで先生は、ひさ吉の様子と、耳の中の状態から、耳垢をやわらかくする薬を入れて耳垢をやわらかくし、その耳垢を器具を使って吸い取ることを提案されました。
ただ、耳垢をやわらかくする点耳薬は長期間使うと、耳の中がただれることがあるそうで、まずは点耳薬を入れる練習として、「ホスミシン」という点耳薬を処方してくださいました。この薬は、そのような炎症を起こすようなことがなく、また、その薬だけでも耳垢が取れやすくなることもあるということでした。
また、耳垢を吸い取るときのために、耳鏡と吸引する器具の先とを貸してくださり、家で練習するように言われました。
4.とれた!(右耳)
点耳薬を入れることに関しては、意外とスムーズにいきました。
耳鼻科では、はじめはベットの上に横向きに寝させ、手の上に点耳薬をのせることからはじめ、次に耳に入れられるとすぐに耳に指を入れたり動いたりしましたが、3回目くらいには薬を入れさせてくれるようになりました。一滴目を入れるときはびっくりするようなので、「入れるよ、ポトーン」といって知らせるようにしました。
家では、点耳薬を入れた耳を上にして10分くらいおとなしくする練習をしました。10分間もおとなしくすることができるのかと思いましたが、これは携帯電話のテレビなどを見せておくとすんなりとおとなしくしていました。
この点耳薬を毎晩して数日たったある日、ひさ吉が右耳を触っていて耳の中を覗くと、なんかあるように見えたので、耳かきを入れてみると、茶色い耳垢がとれました。そして、また次の日、点耳薬を入れた後、耳かきを入れてみると今度は大きな耳垢がズルッと・・・(汚い話ですみません)
きゃ~、とれた! ていうか、でかっ・・・ こんなものがはいっていたのか
そしてまた次の日も・・・3日とると、もう右の耳からは何も出ませんでした。
ただし、同じように点耳薬を入れているのに、左の耳に変化はありませんでした。
次の診察で耳の中を見ていただくと、右の耳の耳垢は多少残ってはいるものの、鼓膜が見えるくらい十分に耳垢はなくなっているとのことでした。先生曰く、耳垢が点耳薬によってふやけて出てきたということのようです。
また、この期間、耳垢を吸引する器具のほうは、先だけなら耳の中に入れさせるのですが、耳鼻科で吸引する器具に接続して吸引しようとすると、断固として拒否していました。
5.とれた!(左耳)
右耳のほうは何とかなったのですが、左耳のほうは効果が無かったので、今度は耳垢をやわらかくする薬(「おくすり手帳」には炭酸水素ナトリウムとグリセリンと精製水と書いてあります。)と「ホスミシン」の両方を処方していただきました。
ただし、耳垢をやわらかくする薬のほうは3日間だけホスミシンと併用して使用し、それ以外の日はホスミシンだけを点耳しました。そして、一週間に一度診察に行きました。
診察に行って耳の中を見ていただくと、耳垢は柔らかくなっていて取りやすい状態になっているとのことでしたが、ひさ吉が吸引する器具を耳の中に入れることを拒否するので、また薬を入れて様子を見ながら、吸う器具が使えるように練習していこうということになりました。
「吸引する器具」と私は勝手に言っているのですが、原理は歯医者さんの口の中の水分を吸い取るものと同じような感じす。形状は先に金属の長い筒(十センチぐらい、耳の中に入れるのでそんなに太くない)がついています。
先生も、徐々に慣れさせようと、ひさ吉の手にその器具を当ててみたり、耳たぶ、頬、など徐々にやっていってくれましたが、どうしても耳の中に入れるのはダメでした。また、耳の中に入れるいうとてもデリケートな作業なので、怖がったひさ吉ががまんできなくてうごいてしまい、それも作業をできなくしているようでした。
そんなことを繰り返していて、耳垢をやわらかくする薬を処方されて3週間くらい経ったころ、
ある日、私がいつものように点耳薬を入れて、耳珠(顔側にある、耳の孔の入り口にある三角の出っ張り)何度か押していたら、耳の中に見える薬の中に耳垢が浮いてきたんです!
これを耳かきですくい、また耳珠を何回か押す→すくう、を繰り返したら、だいぶとれた気がしました。もしかして、もしかして・・・
そんなことを3日ぐらい続けたら、もう耳垢は出てこなくなりました。
この耳珠を押すというのは、点耳薬を入れるときに、そのほうが耳の中まで入る、ということでいつも2,3回はしていたのですが、このときは何回もしました。もっと早くこのことに気づけばよかったかもしれないし、3週間経って耳垢がそういう状態になったかもしれないので、そこはなんともいえませんが・・・
その後、診察に行って耳の中を見てもらうと、きれいになっているとのことでした。
やった~ これで、両耳、耳掃除完了! ![]()
結局、十数回、耳鼻科に通いました。
6.「慣れる」ことができないこともある
そんなわけで、一応両耳とも耳掃除を完了し、そのことには大満足です!
ただ、当初考えていた「耳垢を吸引する」という方法で行うことはできませんでした。(先生は、そのこともある程度想定されていたようですが)
私は、この耳掃除についても、歯医者さんのときのように、やることを示しながら、少しずつ本人の恐怖心だったり警戒心だったりをほぐしていけば、どのような治療もできるようになるのではと思っていました。
実際に、耳かきを入れることができるようになったり、薬を点耳することもできるようになりました。
ただ、吸引する器械に接続した状態でその先を耳の中に入れることだけはどうしてもできませんでした。(練習で、器械に接続していない状態で先のみを入れることはできたので、吸引時の音とか何か要因があったと思います。)
今回の方法は、通常の医療でもおこなわれているような、“押さえつけて治療を続け、そのうちに本人が成長して抵抗しなくなるのを待つ”という方法よりは、かなり配慮していると思いますが、それでもやはり、
「慣れる」ことができないこともある
ということを私に改めて認識させてくれました。
これって、実は私たちはよく知っていることで、
例えば、高所恐怖症の人が簡単に高いところに慣れることは無いと思うし、犬が嫌いな人はやはり簡単に犬に触ったりできるようにはならないですよね。
なのにどうしてそれを無理強いしたり、変人扱いしたりしないのかというと、私たちがその気持ちや感覚をある程度理解できるからだと思います。
ところが、私たちにとって、その感覚が理解できないようなことになると、「我慢が足りない」「慣れればできるようになる」と思ってしまいがちです。そして、本人がそれに対しどれほどの恐怖感うや嫌悪感をもっているかを理解しようとせずに、それに耐えることを強要してしまうことが多いように思います。
今回のひさ吉の場合、(私だったらある程度は耐えられるであろう)この吸引器を耳の中に入れられるという行為が、ひさ吉にとっては私たちの想像を絶するほどの嫌悪感や恐怖感を彼に与えていたということだと思います。(確かに耳は敏感ですしね。)
私は今回のことで、それぞれ個人の感覚や思考が個別的であることを認識し、それに沿ってそれぞれに合った方法を考えていくことはもちろん大切なことですが、
ときには、「諦めが肝心!」とまでは言い切れないですが、目的そのものの見直しとか、方針の転換とかを柔軟に行っていかないといけないなぁ、ということを強く思いました。 なんかまとめすぎて、ちょっときもちわるいな~。
最後に、長い間、治療に付き合ってくださった耳鼻科の先生に感謝したいと思います。
先生は、「本当なら1、2回で済むところを、何度も来てもらって・・・」と、とても気にしてくださっていたのですが、それはこちらが望んでいることなのに、とかえって申し訳なく思いました。


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