「No」を教える その1
ひさ吉は、「No(拒否、否定)」のコミュニケーション手段をもっていません。(正確に言うと無くはないのですが。。。)
“拒否、否定”を表現できないということは、対応する人間にとってさほど不都合なことはありません。むしろ、拒否しないわけですから、こちらの思い通りに動かすことができるので好都合であるため、これまで放置してきました。
ところが、最近、様々な要求を伝えれるようになってきており、逆に、伝えたいことが伝わらないもどかしさのようなものを様々な形(例えば、問題行動であったり、「泣く」という形であったり)で表出するようになってきました。
そこで、本人が「伝えたいこと」はたくさんあるんでしょうが、そのなかでも「いやだ」「ちがう」を伝えたかったのではないかという場面が多いと感じ、「No」を教えることにしました。
ひさ吉の「No」の表現について、もう少し細かく言うと、伝えることが「できるとき」と、「できないとき」があります。
①「できるとき」で一番にあげられるのは、病院やそれに近い建物に入るときのパニックに近い表現、医療行為に対する力づくの抵抗があります。
②もうひとつの「できるとき」は、食べたくない食べ物をすすめられたときです。すすめられたものを“押し返す”ことで、「いらない」と表現します。他のもの(例えば、遊具、絵本など)をすすめられて同様の表現をするのは見たことがありませんので、きちんと表現できるのは、食べ物の場面くらいでしょう。
③「できないとき」のなかには、こちらがそのような状況であると判断可能な場合もあって、例えば、公園などで遊んでいて「もう帰る?」と聞いたときです。この場合、ひさ吉は帰りたければ頷いて帰る方向に歩き出しますが、帰りたくないときは“無反応”でいることにより、こちらが「帰りたくないんだな」と判断します。つまり、反応を期待している相手に対して、「無反応」でいることで「表現」しています。これでは、相手に理解されない場合も多いと思われます。
④その他「できないとき」は、イヤなことがあってもその場では表現できず、周りにも理解されず、後になってパニックや問題行動が出て、「さっきのアレがイヤだったのかな」とこちらが推測する場合です。例えば、ある指示が出て、何が何でもイヤではないのでその場では指示に従ったけど、後からフツフツとその思いが沸いてくるような場合です。このような場合、最終的には指示に従うにしても、その思いが表出できるかどうかで、本人のストレスはかなり違うのでは、と思います。
今回の取り組みは、③のようにこちらが「No」と理解できる場面をターゲットにして、そのような場面で「No」を表現できるようにし、最終的には④のような場面でも表出してくれることを目標にします。(後半については適切な手だては考えていないのですが。。。)
尚、「No」のサインとしては、シンプルに「首を振る」というものにしました。
また、「課題」の選定においては、「ひさ吉のコミュニケーション行動」で記録したコミュニケーション行動の総レパートリーの中などから使えそうなものをピックアップして用いました。
<取り組みの内容>
差し出されたものが、本人の所望のものでないとき、「No」のサインを出せるようにする。
課題1:食事中、「醤油」を要求したとき、「ソース」が提示されたら、
「No」と伝えれるようにする。
(「醤油」の容器と「ソース」の容器との弁別が可能であることは確認済み)
方法:本人が「醤油」を要求したとき、母は「ソース」を差出し、これに対し、本人が
無反応もしくは他のサイン等を出したら、「No」のサインを示し模倣させる。
サインを表出したら、醤油を与える。
結果:記録↓の通りです。(わざわざ見るほどのものでもないですが。。。)
「No1.pdf」をダウンロード
6日目で正反応が出て、以下三日続けて正反応が出たので、
「課題1」は終了としました。
これで一応「課題1」は完了ですが、この時点で、「首を振る」というサインが「No」という意味で使われている可能性はおそらく低いと思います。極端に言えば、「首を振ると、お母さんが醤油を出してくれる」と理解している可能性もあります。
したがって、今後「課題2」「課題3」・・・と、さまざまな対象、場面を設定して、同様の取り組みを行いながら「No」の意味として使用できる場面を増やしていく必要があると思います。
今後の取り組みについては、また順次アップしていく予定です。
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